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夏のイベント レポート
群馬支部
 群馬支部は8月7日(金)、群馬県生涯学習センターを会場に「第9回生涯教育懇談会」を「生涯教育 今の時代を生きる責任と役割」のテーマで開催し、市議会議員、行政関係者、教育関係者、市民団体関係者等、36名が出席した。
 支部副責任者の松永久美子さんの挨拶に続いて、DVD「野村生涯教育センターのあゆみ」を上映。その後、責任者の佐野美智代さんが「提言」を行った。
 佐野さんははじめに「戦後70年という節目に、あらためて日本人として、自分たちが何を大切な価値として、どう筋の通った生き方をするかを考え直したいと思い、このテーマのもとに懇談会を持つことに決めました」と述べた。
 そして、「昨年2月に第3回生涯教育群馬県大会を開催した折は、センターの公益財団法人への移行にあたって金子理事長が語った『次世代が公に資する事業を通して自己の人間性を開発すること』の言葉から自分と社会を切り離して生きてきた私たちが、今こそ変わっていきたい、少しでも人を、社会を思える自分たちになりたいと願ったからでした」と述べた。
 福島の原発事故がいまだ収束を見ないなかで川内原発が再稼働されようとしていることや、安保法制の改定がなし崩し的に進めていること等にふれた佐野さんは「金子理事長は、それが私たちが人生で出会っている条件ならば、それを教育課題として自分の中から何を引き出していくのかを問われています。そして敵対する方向へと向かおうとする社会、世界にあって、私たちは足もとの夫婦、親子といった関係をどう調和へと向けていくか、その原理と実践を私たちは学んでいる、と言われています」と述べた。
 そのうえで、自分がずっと母親を怖いと見て、常に顔色を伺って生きてきたが、その怖さがどこから来るかを知りたくて母親と話したとき、兄を沖縄の特攻で亡くし、そのショックで翌年母親が亡くなりという過酷な戦争経験をし、その後長女として父親ときょうだいと厳しい時代を生き抜いてきたこと。そうした経験を通して「戦争で命を無残に落とすのは、兄のように命令を下された人間で、下す人間ではない」という怒りをずっと心に持ちながら生きてきたからだとわかった。そして「ただ怖い人と見てきたが、言うに言えない悔しさや悲しさを抱えて生きてきた母を、強靭な精神力を持った人なのだと、まったく違う見方ができるようになった」と語った。
 最後に佐野さんは「『出会う条件を通して動機を見る。目に見えない意識がエンジンになって環境をつくっている。それは足もとの家族関係から、国レベル、国際関係にもあてはまる原理である』わけです。
 私たちの未来は、自分たちの意識に、命がもっとも大切だという実感をどう引き出すことができるかにかかっていると思います。そのためには、人のせいにせず、話し合い、理解し合おうという動機を持つこと、それが個人と個人、国と国の関係でも基本だという確信があれば、けっして諦めることはないのだと、それこそがこの時代を生きる責任と役割だと提言します」と語った。
 その後の討議では、幼稚園理事を務める方の「人間は多くの支えがあってはじめて生きられるということを、最近は親が子どもに教えていない」という発言から、家庭におけるコミュニケーションの大事さや、親自身にそうした意識が希薄になっていることの、自身の反省を通して発言が続いた。
 市議の一人からは「他人事をどう自分事にしていかれるか。原発事故問題ひとつとっても、それをどう自己の問題として脱原発をめざすか」といった発言があり、また安保関連法案についても、自身の考えを率直に述べる発言があった。
 それに対しセンター側からは「是々非々を論じるのでなく、立憲主義国として筋の通らないやり方に対して、主権在民の主権者の一人として、自分たちがどうそれを自らの課題としていくか、そこを話し合いたい」という意見が出され、そこから「日本の文化や、日本人の倫理的、知的資質の素晴らしさをもっと見直していくべき」といった意見や、「現政権を選んだのはわれわれであり、今後も未来はわれわれの選択にかかっている。私たちがより真剣に選択していくことが大事」といった意見が聞かれた。
 また「DVDにあった“運命共同体”という深遠な考えを、すべてにあてはめていきたい。まず自分自身が学ぶというセンターの精神を貫いた実践をしていきたい」といった声も聞かれた。
 最後に佐野さんは「今日は、思っていることを率直に発言していただき、ほんとうに貴重な一日でした。依存体質を脱して、さまざまな問題を人任せにせず、自分たちの立ち位置でできることを必死でやっていくこと、それが今日のテーマに繋がると思います」と述べ、懇談会をしめくくった。 
 
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