生涯教育への願い 略 歴 著 作 エッセイ 言 説 野村佳子記念館
生涯教育への願い
 世界的教育改革の理念として生まれた生涯教育の推進にあたり、その理念の学習と実践化を図るべく、私は下記の“四つの要点”と“三つの原則”を掲げて、既成の教育の転換を試みております。
四つの要点
 知識の教育から 智慧の教育へ
 知育偏重教育から 全人教育へ
 伝統文化学習から 文化創造の学習へ
 時限教育から 生涯教育(永久教育)へ
三つの原則
子供たちの教育はいついかなる場合にも親の自己教育である
生徒たちの教育はいついかなる場合にも教師の自己教育である
社会・人生にふれ合うすべての条件は一人一人の自己学習の教材である
 人間社会における政治・経済・教育の諸機能において、人間がその担い手である限り、人間の教育が第一の出発点になるはずです。
 まして人類史上、今ほど大きな転換期を迎えている世紀はないと思われます。
 人間性の復活、平和社会の実現、地球的レベルにおける新しい文明の創造が希求されているこの時代、そして人類が共滅から共存への道を見出さなければならないこの時代にあって、人間教育がすべてに優先し、抜本的な見直しがなされなければならないと思います。
 特に青少年の非行や自殺、暴力等々、未来を失った彼らの姿に教育のゆきづまりを痛感いたします。
 人間が人間らしくあるための教育が、人間不在になってしまっている今、教育の原点に立ち還る必要を感じます。それはつまり、「人間とは何か」「生きるとはどういうことなのか」という人間の原点、本質にまでさかのぼることであり、そうでない限り、結局は単なる手直し、方法論に終わるのではないかと思うのです。
 人間の教育は特定の限られた専門家だけの問題ではなく、むしろ人生の最初の教師、生涯を通しての教師は、その生命を生み、育て、守る親であり、特に母親であることを思います。
 そしてまた生涯にわたる人間形成、自己実現は、一人一人の己の問題であることを思うとき、真の人間教育のあり方は、生涯教育の最大のテーマであり、今、世界が探し求めているものであろうと考えます。
 私はこの観点に立って、教育の本質を人間性の復活に求め、東洋の人間観、自然観に基づいた生涯教育の基本理念を打ち立てました。
 その基本理念において、家庭、学校、社会の有機的連帯のもとに人間形成をはかり、自己教育を通し相互教育をはかりつつ、地球的レベルの連帯にまで拡大することによって、人間復活の教育が確立され、今、世界が模索している人類共存の文化の創造がなされることを確信し、その学習と生活実践を提唱し推進したいと思います。

創設者・初代理事長
野 村 佳 子
 
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